第94回相続人が先に死亡した場合への備え~予備的遺言~放送日:2020.02.20
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- 【予備的遺言】
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登場人物:夫(質問者)、妻、息子
財産内訳:預貯金(1000万円)
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- Q.
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遺言で、財産を妻に相続させようと思いますが、もし、自分より先に妻が死んでしまったらどうなるのですか?
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- A.
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自分(被相続人)より以前に相手(相続人)が死亡した場合、遺言の該当部分は無効となってしまいます。
相続人が先に死亡した場合に、第一に考えられるのは、遺言書を書き換えることです。全部を作り直すことも一部を変更することも可能ですが、遺言書の書き換えには手間もかかります。しかし、こうした場合に遺言を作り直さなくていいように、相続人が死亡するなどの事態が発生したときに備えて、遺言書の中にさらに次の相続人を指定することができます。これを予備的遺言といいます。
予備的遺言を書いておくことで、もし自分が生きていても認知症になるなどで遺言書を書き直すことができなくなった場合に備えることができます。
できるかぎり先のことを考慮した遺言を作成することで、相続に対する不安もなくなりますし、もし不測の事態が起こったときにも、争いごとの多い相続を円滑にすすめていくことができます。
今回の質問では「全財産を妻に相続させる。ただし、私と同時もしくは私より先に妻が死亡した場合には、長男に相続させる。」
という形式で書けばよいでしょう。
具体的には、他の相続人との関係や財産の状態によって、どのように書けばよいのかが違ってきますので、相続の専門家に相談しながら遺言書を作成することをおすすめします。