第88回自筆証書遺言の保管制度と検認放送日:2020.01.09
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登場人物:夫、妻(質問者)、息子、娘
財産内訳:自宅(3000万円)、預貯金(2000万円)、有価証券(1000万円)
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- Q.
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私も75歳になり、そろそろ相続について考えたいと思っています。
私の死後、相続のことで家族が揉めるのが嫌なので、遺言書を書きたいと思います。
考えすぎかもしれませんが、その遺言書が改ざん・隠ぺいされたり、紛失したりということが無いようにしたいです。どこに保管するのが適切でしょうか。
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- A.(改正前)
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自宅外ならば家族に見られ、干渉される心配はなくなりますが、第三者に託す場合には、死亡時の連絡方法等を事前に整えておかないと、遺言書が必要な時期に利用できない可能性があります。また、親友などに預けておいても、遠方に引っ越してしまったり、先に親友が亡くなってしまうと、預けていた遺言書を入手できるかが疑わしくなります。
したがって、自筆証書遺言であれば、貸金庫に権利証・有価証券などと一緒に保管されている旨を伝えておく方がより得策です。
貸金庫をお持ちでない方は、やはり公正証書遺言を作成し、家族に公証役場に遺言書があることを伝えておく方がより得策です。
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- A.(改正後)
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民法の相続に関する規定(相続法)の改正に伴って「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が成立し、自筆証書遺言の保管制度が新設されることになりました。これにより、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになります。自筆証書遺言の保管制度は遺言書が法務局に保管され、遺言書がどこにあるのか、その所在も容易にわかるようになります。もちろん、紛失、破棄、改ざんなどのおそれもありません。
また、自筆証書遺言は家庭裁判所で検認を受ける必要がありますが、法務局で保管されている遺言書についてはこの検認手続きが不要になります。これは大きなメリットといえるでしょう。法務局の管轄は、遺言書を書いた人の住所地、本籍地、所有している不動産の所在地のいずれかを選択できます。なお、遺言書保管制度は必ず本人出頭が求められます。代理人による申請もできません。公正証書遺言では公証人が自宅や病院に出張してくれますが、遺言書保管制度はそういうわけにいかないので、遺言者に歩行困難等の事情がある場合、利用が難しいかもしれません。また、本人であることの確認は身分証明の提示など所定の書類により厳格に行われます。