第441回昔あげた土地が値上がり!生前贈与の評価額は「もらった時」?「今」?放送日:2026.9.23
-
大木さん:皆さま、こんにちは。大木文香です。今週は秋分の日ですね。ご家族で集まる機会も増える時期ですが、絹川先生、本日もよろしくお願いします。
絹川先生:絹川です。よろしくお願いします。
大木さん:さて先生、今月のテーマは「事例で学ぶ!我が家の相続トラブル予防策」です。身近に起こりそうな事例を通して、円満な相続のヒントを学んでいきましょう。
-
- 【事例】
-
Dさんには弟がいます。先日父が亡くなり相続が始まりましたが、弟が結婚した際に父から土地が贈与されていたことが分かりました。12年前は1,200万円だったその土地は、数年前に近くに駅ができたことで評価額が大幅に上がり、現在は2,500万円になっています。弟は「もらった時点の1,200万円で評価されるべきだ」と主張していますが、Dさんは「今の2,500万円で評価して分けるべきだ」と譲りません。
絹川先生:法律上の正しいルールは、「お父様が亡くなられた時点(相続開始時)」の評価額である2,500万円で計算します。
大木さん:昔もらった時の金額ではなく、「今」の金額で計算するんですね!
絹川先生:そうなんです。このように、特定の相続人が生前に受け取った特別な財産を「特別受益(とくべつじゅえき)」と言います。相続人間の公平を図るため、特別受益は遺産の前渡しとみなして相続財産に加算して全体の取り分を算定します。そのため、特別受益を受けた弟さんが最終的に受け取る遺産からは、その贈与分が差し引かれることになるんです。
大木さん:なるほど!でも、今回のケースのように評価時点が「相続開始時」だと分かると、土地の評価額自体でトラブルになりそうですね。
絹川先生:おっしゃる通りです。特別受益を受けた弟さんは「できるだけ安く評価して自分の取り分を減らしたくない」、受けていないDさんは「できるだけ高く評価して弟の取り分を減らしたい」と考えます。土地の評価額によって兄弟の持分が大きく増減するため、争いがヒートアップしやすいのです。
大木さん:兄弟間で評価額が決まらない場合は、どうなってしまうのでしょうか?
絹川先生:話し合いで決まらなければ裁判所で鑑定を行うことになりますが、通常でも50万円程度の費用がかかり、しかも相続人同士で負担しなければなりません。手間とお金の負担が大きすぎるため、最終的にはお互いに依頼した査定額を持ち寄り、話し合いで調整するケースがほとんどです。お父様が生前に「持ち戻し免除の意思表示」を含めた遺言書を作っておけば、こうした不毛な争いは回避できたと言えます。
ただし、非常に重要なのが「遺留分」との違いです。持戻し免除をしたからといって、他の相続人の遺留分まで自由に奪えるわけではありません。持戻し免除は主に「相続人間の具体的相続分の計算」に関する意思表示であり、遺留分制度は別のルールです。法務省資料でも、持戻し免除があっても他の相続人の遺留分を害する場合には、遺留分の問題が生じ得ると整理されています。
また、現在の遺留分制度では、原則として相続人への特別受益に該当する贈与は相続開始前10年間が遺留分算定の対象となるという時間的な制限があります。したがって、「持戻し免除」と「遺留分算定における10年ルール」は分けて考える必要があります。
実務上は、遺言書には単に「過去の贈与について持戻しを免除する」とだけ書くのではなく、①誰に、②いつ、③何を・いくら、④どの贈与について免除するのかをできるだけ特定しておくことをおすすめします。
大木さん:生前贈与が関わる土地の評価や遺産分割のトラブルは、当事者だけでは非常に複雑ですね。お悩みの方は、ぜひ一度「いしかわ相続サポートセンター」へご相談ください。専門家が円満解決への道をサポートいたします。
ラジオ番組
教えて絹川先生!
文香の知らない相続の世界
パーソナリティと相続について楽しく学ぶラジオ番組です。
身近な事例を元に、相続にまつわるトラブルや
疑問を分かりやすく解説しています。
| 放送局 |
北陸放送 |
| タイトル |
「教えて絹川先生!文香の知らない相続の世界」 |
| 放送時間 |
毎週木曜日15:20~ |
| 出演 |
絹川忠宏、大木文香 |