第363回全財産を長男に、という自筆証書遺言放送日:2025.3.27
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- 【事例】
- 先日、父が亡くなりました。相続財産は実家と預貯金。相続人は私と弟のみですが、長年父の介護をしてきたことから、父が書いた遺言書には「私に全財産を相続する」と書いてありました。そのため、父が遺言書を書いてくれたことに感謝しつつ、古くなった自宅を売却して住み替えることに。すると、しばらくして弟から「遺留分減殺請求をしたい」と申し出が!新しい家の購入に相続財産を使ってしまったので弟に支払うお金がなく、トラブルに発展してしまいました。
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- 【解説】
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被相続人が遺した遺言書は基本的に有効ですが、他の相続人の遺留分を侵害し、その相続人から遺留分の減殺請求を受けた場合、遺留分に相当する財産を支払わなければなりません。
おそらくお父様が遺した遺言書は「自筆証書遺言」で専門家のチェックなどもなかったことから、「遺留分」というものがあることを知らなかったのかもしれませんね。また、相続人である兄も遺留分について知らなかったことから、「遺言書があるから、全ての財産を相続できる」と勘違いをしていたのでしょう。
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- ★遺留分とは
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遺留分は、被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹以外の近しい関係にある法定相続人に最低限保障される遺産取得分のこと。「相続が開始し自分の遺留分を侵害されていることを知った時から1年間」または、「相続開始の時から10年間」は、遺留分減殺請求ができます。
遺言書とともに、財産を相続する相続人に万が一の代償金の準備もしておく、もしくは、遺言書を書く際には、専門家のアドバイスを受けながら確実に「円満な相続」を迎えられるための準備をすることをおすすめします。