第339回相続ってどんなものがあるの?放送日:2024.10.10
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大木さん:今月は「相続のキホン」について教えていただいています。「相続」とひと口にいっても、どんな方法があるのでしょうか。
絹川先生:「相続」つまり、「被相続人の財産を引き継ぐ方法」は大きく分けて3つあります。単純承認・限定承認・相続放棄の3つです。それぞれどのような引き継ぎ方になるのか、それに伴う手続きと合わせて確認しておきましょう。
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- 1.単純承認
- 被相続人が残した財産のすべてを無条件に引き継ぐことを「単純承認」といい、一般的にはこの方法で相続するケースが大半です。単純承認では相続財産に属する権利・義務もすべて引き継ぐため、借金や負債も相続することになる点に注意が必要です。
- 2.相続放棄
- すべての財産とそれに属する権利・義務の一切を放棄するのが「相続放棄」です。プラスの財産よりマイナスの財産のほうが明らかに多い場合などに、相続放棄を選択することができます。
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絹川先生:相続放棄を申請する場合の期限、覚えていますか?
大木さん:相続の開始を知った時から3か月
絹川先生:相続放棄をする場合は、相続開始後、または相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に、所定の書類を提出して手続きします。ただし、いったん相続放棄をしたら、後で撤回することはできません。
大木さん:3か月以内というとあっという間ですよね…、相続放棄をした場合、相続権はどうなりますか?
絹川先生:相続権は、第2順位、第3順位、と次の相続人に移っていきます。だからこそ相続放棄をした場合、他の相続人にもそのことを伝えることが大切です。たとえば借金があるために子ども全員で相続放棄をした場合、相続人は第2順位、第3順位の人へと移っていき、その人たちに借金の取り立てが回る可能性もあります。他の人たちに迷惑をかけないためにも、相続放棄をした人はその旨を、他の相続人や次の相続人に知らせておくのがマナーです。
大木さん:ちなみに、プラスの財産とマイナスの財産があった場合に、プラスの財産だけ、相続するなんてことはできないですよね?
絹川先生:限定承認、という方法があります。プラスの財産の範囲で、借金などのマイナスの財産も引き継ぐ方法が「限定承認」です。この場合、プラスの財産を超える借金や債務があった場合、超えた分については返済の義務はありません。債務などを返済後に財産が残ったら、その分は相続できます。「借金はあるようだけど、マイナスの財産とプラスの財産でどちらが多いかわからない」といったときに、便利な引き継ぎ方といえます。限定承認を選択する際は、相続開始から3カ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で所定の手続きを行います。この手続きは相続人全員で行う決まりのため、事前に相続人全員で話しあい、合意を得ることも必要です。
大木さん:全員が相続放棄するとどうなるのですか?
絹川先生:相続人全員が相続放棄すると、その後最終的に国のものになる財産もありますが、すぐに国庫へ帰属するわけではなく、当面は何らかの形で相続財産に関わります。
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特に借金は「相続放棄ですべて終了」とはならず、プラスの財産から弁済も必要であり、被相続人が連帯保証人だった場合は返済義務も残ります。つまり、相続放棄を全員が行っても、その後、財産がきちんと清算されるまでは管理が必要となり、相続財産管理人を選任して財産の管理や整理を行います。
借金などのマイナス財産については、相続財産管理人によって債権者が確定され、家庭裁判所の承認を経て弁済の手続きが行われます。なお、プラスの財産から債権回収が見込めない場合、債権者は連帯保証人に支払いを請求することになります。相続放棄していても連帯保証債務は残るので、支払い請求があれば応じなければなりません。
相続放棄すると、すべての支払い義務が免除されると思われがちですが、連帯保証債務は別なので注意してください。