第335回事例をもとに学ぶ生前対策:遺言書を書くことで円満な相続につながります。特に、家族関係が複雑であるなら必須と言えます。放送日:2024.9.12

  • 【事例】
    最近、遺言書を書き始めたAさん。法定相続人はAさんの、そして疎遠になっている兄です。ただ、Aさんには妻と、妻の連れ子にあたるBさんがいます。AさんはBさんを実の息子のように可愛がっていますが、出会ったときからBさんが成人していたこともあり、養子縁組は組んでいませんAさんはBさんにも相続財産を渡したいと思っていますが、遺言書に記載しておけば問題ないでしょうか。
  • 【解説】
    今回の事例のように、家族関係が複雑である場合、遺言書は必須です。

    まず整理すると、Aさんの法定相続人は妻、そして疎遠の兄。
    法定相続分は、妻が3/4で兄が1/4になります。

    もちろん、「妻の連れ子」は法定相続人ではありませんから、今回の事例ではBさんに財産をのこしたい場合、遺言書が必ず必要になります。また、遺言書を書かないまま、妻に先立たれた場合、AさんはBさんに財産を渡せなくなることも考えられます。
  • 【遺言書で「意志を残す」こと】
    相談者様と長男で養子縁組をする方法もありますが、まずはしっかりと遺言書を残し、相続人を確定させましょう。遺言書の形式のひとつである「公正証書遺言」では、相談者本人の意思が反映できる遺言書を公正証書として残すことが可能になります。自筆で作成した遺言書とは違い、形式の不備などで無効になることもありませんから安心です。
  • 【遺留分に気を付ける必要があるか】
    「疎遠の兄」に相続権はありますが、最低限の財産分与を求める「遺留分侵害額請求権」はありません。今回のケースでは遺留分に気を付ける必要はありません。

    Bさんに財産を遺す方法
    ①遺言書作成
    ②生前贈与
    ③養子縁組
    ④生命保険