第334回事例をもとに学ぶ生前対策:配偶者居住権を使えば、配偶者へ老後の資金を遺すことできます。放送日:2024.9.5
-
- 【事例】
-
最近相続の準備をし始めたAさん。
Aさんが財産を整理したところ、相続財産としては現在住んでいる家、預貯金、生命保険があることがわかりました。相続人になる家族は、妻、長男、次男の3名です。
Aさんは、奥さまに自宅を相続させて、残りの財産をこどもたちで分けるのが良いのではないかと考えています。
-
- 【解説】
-
生前の相続対策は非常に重要です、円満な相続のためにAさんのように「元気なうちに」対策を始めることをお勧めします。
さて、今回「妻に家を、子供たちに現金を」相続したいということですが、このまま相続すると、妻は老後困ることになるでしょう。
なぜなら、妻には現金を渡すことができず老後資金が不足するためです。
そんなときに役立つのが 「配偶者居住権」です。この番組では何度も取り上げていますね。
例1)母が自宅、子が現金を相続した場合
財産内訳
自宅:2000万
現金:2000万
母(自宅2000万)、長男(現金1000万)、次男(現金1000万)
例2)母が自宅の居住権、子が現金および所有権を相続した場合
財産内訳
自宅:2000万
現金:2000万
母(自宅配偶者居住権1000万、現金1000万)、長男(自宅所有権1000万)、次男(現金1000万)
-
- 【配偶者居住権】
-
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利です。配偶者居住権は、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者の居住権を保護するため、令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。このように、自分だけで考えていては残された家族が困ることも。
円満な相続のために欠かせないのが、相続人同士で話し合う時間を設けることです。
相続税がかかるか、それを払えるか、どう払うのか、生命保険の種類と受取人は?控除が使えるかどうか、被相続人が認知症になったら?等、各相続人のライフプランを考慮して話し合っておくべき事柄はたくさんあります。
*登記、善管注意義務、非譲渡性、承諾