第329回事例をもとに学ぶ「代襲相続」:本来相続人となるはずだった人がすでに亡くなっていた場合、その人の相続権は、子や孫が引き継ぐことができます。放送日:2024.8.1

  • 【事例】
    Aさんは父の遺産を相続することになりました。
    Aさんには兄のBさんがいましたが、数年前に亡くなっています。
    また、兄のBさんには息子が一人います。
    この場合、既に亡くなっている兄Bさんの相続権はいったいどうなるのでしょうか。
  • 【解説】死亡した相続人の相続権は子(孫)が引き継ぐ
    本来は相続人となるはずだった「被相続人の子または兄弟」が、「相続が開始される以前に亡くなっていた」という場合、その人の相続権は、子や孫が引き継ぐことができます。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。また、代襲相続の制度によって、相続権を引き継がれる人(代襲される人)を「被代襲者」、相続権を引き継ぐ人(代襲する人)を「代襲者」と言います。

    なお、代襲相続は、相続人となるはずだった「被相続人の子または兄弟」が亡くなっていた場合にだけ起こるのではありません。滅多にないこととは思いますが、その他の場合についても解説しておきます。

    この事例の場合、父の遺産の相続人となるはずだったBさん(被相続人の子)は亡くなっていましたが、Bさんには息子被相続人の孫)がいるということですので、Bさんの相続権はBさんの息子さんに引き継がれます。これが最初にお話しした「代襲相続」になります。

    では、Bさんの息子さんも亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。
    Bさんの息子さんに子ども(被相続人のひ孫)がいた場合は、今度はその子ども、つまり孫が相続権を引き継ぐことになります。このような場合は「再代襲」と言います。

    このように、相続権を引き継ぐことができる代襲相続の制度ですが、誰でも代襲相続できる訳ではありません。代襲相続ができるのは「被相続人の直系卑属(子・孫・ひ孫)」または「被相続人の傍系卑属(甥・姪)」に限られています。「被相続人の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)」と「配偶者」に代襲相続は認められていません。