第326回遺言を見つけたら:勝手に開いてはいけません。速やかに家庭裁判所へ相談していただき、その指示に従って、手続きを進めてください。放送日:2024.7.11

  • 【質問】
    先日、父が亡くなりました。
    遺品を整理していたところ、引き出しから「遺言書」と書かれた封筒がでてきました。
    遺言書を見つけた時はどのように対処したらよいのでしょうか。
  • 【解説】
    遺言書は勝手に開いてはいけません。
    封をしてある自筆証書遺言を家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料になります。罰金は刑事上の刑事罰になりますが、過料は行政上の罰則です。また、誤って開封をしてしまった場合には、速やかに家庭裁判所へ相談していただき、その指示に従って、手続きを進めてください。

    また、遺言書を見つけた相続人は、ほかの相続人に伝えなければいけないかどうかという問題があります。法律上は、特に決まりはないのですが、やはり、遺言書は大事なものです。後日、もめごとにつながらないよう、ほかの相続人に連絡をしておく方が良いと思います。

    まず、遺言書を見つけたら家庭裁判所に持参し「検認」「開封」の手続きをしましょう。
    検認とは、遺言書が被相続人によって作成された本物の遺言書であるかどうかを調べたり、偽造されることを防止するために行われる手続きのことをいいます。ここで勘違いをしてはいけないのは、検認手続きは、遺言書の内容が有効であるかどうかを判断したり、有効性を保証するための手続きではないということです。

    検認の手続きの約1ヶ月後には、家庭裁判所で「開封」の手続きがあります。相続人の前で遺言書が開封され、遺言書の内容が明らかになるのです。

    ただ、公正証書遺言の場合は検認の手続きが不要です。このため、遺言者の死亡後に見つけた人が開封しても、特に問題はありません。ただし、封がしてある場合は、念のため、ほかの相続人に連絡し、その人たちの立会いのもとで、開封をした方が良いでしょう。
  • 【公正証書遺言とは】
    公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)とは、公証役場の公証人が作成して、公正証書という形で残す遺言書です。遺言者自身が作成する自筆証書遺言とは異なり、公正証書遺言では公証人のチェックが入り、原本が公証役場で保管されるという点が特徴的です。