第321回相続登記の義務化されました。不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料にかされます。放送日:2024.6.6

  • 【質問】
    最近、「相続登記の義務化」がスタートしたと聞きました。
    土地や家などを相続した場合に、放置していたら罰則があるのでしょうか。
  • 【解説】
    相続登記義務化の背景には所有者不明土地の問題があります。なぜ→手続きが煩雑、費用がかかる
    まず、相続登記の義務化についてご説明します。
    相続登記の義務化には3つのポイントがあります。
    ・相続登記の義務化は2024年4月1日開始
    ・不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料
    ・過去の相続分も義務化の対象


    相続や遺贈により不動産(土地・家屋)を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました。正当な理由なく期限内に申請をしなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
    ですから、もし相続、取得していることを知りながら放置した場合、罰則があると言えます。
  • 相続登記の義務化対象となるのは
    相続又は遺贈により相続人が所有権を取得したことを知った不動産です。
    遺産分割協議の成立により取得した場合も対象になります。
    他方、相続人以外の者(例:相続人ではない孫など)が遺贈により取得した不動産は、義務の対象外です。

    また、合わせて「相続人申告登記」という新たな制度も始まりました。

    相続人申告登記とは、相続登記申請の義務を履行するための簡易な方法として新設された制度で、令和6年4月1日からスタートしました。ただし、権利移転の公示の効果はありません。
    相続登記申請の義務の履行期限(3年)が迫っているにも関わらず、遺産分割協議がまとまらず登記申請ができないような場合に、義務を果たすために利用できます。
  • 過去の相続についても対象
    義務化の施行日(2024年4月1日)以前に発生していた相続にも遡及して適用されます。遡及とは、過去にさかのぼり法律の効力が発生することです。つまり、過去に相続した相続登記未了の不動産も登記義務化の対象となります。2027年3月末まで猶予期間がありますが、正当な理由なく期限内に申請しなければ、過去に相続した不動産についても10万円以下の過料の対象となります。
  • 相続登記をしない場合の相続人のリスク
    ・権利関係が複雑になり、相続登記が困難に
    ・不動産の売却や担保提供ができない
    ・不動産の差押や共有持分を売却されるリスク