第320回相続は事前の対策を:分割対策、納税対策、節税対策をバランスよく取り入れましょう放送日:2024.5.30

  • 【質問】
    先日、70歳になったことを機に、相続について考えるようになりました。
    とはいえ、相続は難しい、というイメージがあり・・・
    何から手を付けたらよいのでしょうか。
  • 【解説】
    相続税というと、「一部の資産家に関係すること」、「一部のお金持ちの悩みで自分には関係のないこと」だというイメージを持たれている方がいらっしゃると思います。

    ところが、平成25年度の税制改正において、相続税の基礎控除が2,000万円減少し、法定相続人の比例控除分が1人当たり400万円減少と大幅に縮小されました。このことによって、相続税の課税対象となる方の割合が一気に増加しました。今では、相続税は自分には関係ない話ではなくなっています。

    例えば、主な財産が自宅だけという普通のサラリーマンの家庭でも相続税が発生する可能性があります。
    遺産が不動産がメインで、現金がほとんどないケースは「争族」に発展するケースがみられます。
    そして、仲が良かった家族でさえ、残念ながら争いが起こることもあります。

    そうならないためには、事前の対策が重要です。
    まずは、「現状の整理」からはじめてはいかがでしょうか。
    相続人は誰か、相続財産はどれだけあるのか。
    相続財産にどんなものがあって、相続税はどれだけかかるのか、しっかりと把握している人は少ないでしょう。
    「財産目録」を作成し、現状を分析・把握することからはじめましょう。

    つぎに、今月通してお話してきた相続対策
    ①分割対策 ②納税対策 ④節税対策
    について考えてみましょう。

    この3つをバランスよく取り入れた対策を行うことで、効果的な相続対策が可能となります。

    しかし、もっとも重要なのは、
    相続人間で「話し合うこと」です。

    相続はとてもデリケートな問題のため、話すことを避けてしまう傾向がありますが、
    遠慮して話し合いをしていなければ相続発生後トラブルに繋がってしまうことがあります。

    円満な相続のために、
    事前に専門家に相談し、入念な準備をしておくことが大切です。