第317回生命保険で税金がかかるのはどんなとき:保険料を誰が負担していたか、被保険者が誰かによって税金の種類が異なります。放送日:2024.5.9

  • 【質問】
    最近、節税対策のために「生命保険」が有効だと聞きました。
    生命保険と、相続税について教えてください。
  • 【解説】
    生命保険は、実は条件によって相続税がかかったり、かからなかったりします。

    被相続人(亡くなった人)が被保険者となっている生命保険金は、被相続人の死亡後、相続人に支払われます。相続の時期に支払われると「相続財産」と思うかもしれません。しかし、実は相続税ではなく、ほかの税金がかかることがあります。

    ・・・生命保険にかかる税金のパターン・・・
    保険料を被相続人が負担していた場合:相続税
    保険料を保険受取人が負担していた場合:所得税
    被保険者は被相続人だが、負担者と受取人がそれぞれ別の生きている人の場合:贈与税

    相続税の対象となる生命保険金は、民法上、受取人の固有の財産であって、相続財産ではありません。しかし、相続税法では、亡くなった被相続人自身が保険料を負担し、被相続人の死亡をきっかけに支払われることから「実質は相続で得た財産である」とみなして、相続税の対象としています。民法上は相続や遺贈で取得したものではないものの、相続税法では相続財産として扱う「みなし相続財産」という考え方です。

    このほか、相続人に支払われた生命保険金のうち、契約上の受取人が被相続人になっていたものにも相続税がかかります。ただし、こちらは「みなし相続財産」ではなく、「本来の相続財産」として扱われます。

    先ほど、みなし相続財産として扱われる生命保険金についてお伝えしました。この生命保険金のすべてに相続税がかかるわけではありません。

    相続税法は「生命保険金は被相続人死亡後の相続人の生活の支えである」と配慮し、課税されない部分(非課税枠)を次のように設けています。

    生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数

    ここでいう「法定相続人」とは、民法上の相続人のことです。非課税枠の計算では、相続放棄をした相続人も法定相続人の数に含めます。相続人が子ども5人で、そのうち1人が相続放棄をしたとしても、非課税枠は「500万円×5人=2500万円」となります。この非課税枠を活用して、節税対策を講じることができます。

    この他、生命保険金にはたくさんの注意点があります。実際、「どういった税金がかかるか」「非課税枠は使えるのか」といった判断は、専門的で難しいものです。ぜひ専門家にご相談ください。