第315回【あってよかった!遺言書】相続財産の大部分が不動産である場合、もし遺言がなければ相続人間でもめ事が起きかねません。それは不動産が「分けにくい」財産だからです。放送日:2024.4.25

  • 【事例】
    先日、父が亡くなりました。相続財産は実家と少しの預貯金。相続人はわたしと弟の2人です。実家は長男である私が相続し、預貯金は弟に、と父から聞かされており遺言書にも同じように記載されていました。事前に相続人間で相談し、納得して決めた分け方なのでトラブルなくスムーズに相続を終えることができました。
  • 【解説】
    相続財産の大部分が不動産だった場合、トラブルに発展しがちです。
    たとえば、相続人が複数いて、財産の大部分が不動産である場合を想定してみましょう。大部分の不動産を1人の相続人に渡したいと思って遺言を書いた場合、不動産をもらえなかった相続人には遺留分という権利が発生します。

    もらえない人がもらえる人に遺留分を請求するとその人は現金を用意して払う必要があります。もし不動産しかもらっていなければ、売って現金を用意する必要があり、相続人にとっては大きな負担となるでしょう。
  • ※遺留分とは
    遺留分は、被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹以外の近しい関係にある法定相続人に最低限保障される遺産取得分のこと。

    今回のように、事前に相続人間で納得して、遺言書を書いておけばトラブルを防ぐことができるでしょう。
    また、そのほかにも事前に相続税を試算しておくことも重要です。

    相続税試算をすることによって、概算の相続税額や不動産の評価額などを把握することができます。
    また、財産目録を作成することで遺産分割案の検討をすることができます。

    将来相続が発生した際には、全ての財産を調べて1円単位で納税額を確定させる必要があります。ですが、相続税試算をする段階では概算の把握で構いません。まずは財産の全体像を把握することが何よりも大切です。

    ⇒相続税がかかるかかからないかがわかる
    ⇒納税額の概算がわかれば、納税資金が不足していることが分かる
    ⇒相続人同士で財産を公平に分けにくいことが分かる

    相続税試算は相続対策を検討する上でのスタートラインとなりますから、お気軽に専門家にご相談ください。