第306回【事例をもとに学ぶ相続】「争続」にならないように、生前から相続人間で話し合って、遺言書を書いておくことをおすすめします放送日:2024.2.22
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- 【事例】
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妻やこどもたちが相続でもめないように、との思いから生前贈与を検討し始めたAさん。
相続財産は現在住んでいる家(1800万円)と預貯金3300万円と生命保険500万円があります。相続人は妻、長男、長女、次男の4人です。Aさんは妻には自宅を、預貯金はこどもたちに平等に分けたいと考えていますが、家族間で揉めごとが起きないか心配しています。
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- <財産内訳>
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不動産:1800万
流動資産:3300万
合計 :5100万
生命保険:500万 *受取人固有の財産
*生命保険の受取が誰なのか? 誰であっても非課税枠が2000万なので課税されない
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- <非課税枠>
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5400万
5100万<5400万 *相続税かからない
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- <分割案>
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妻:自宅(35%)
長男:1100万(21.5%)
長女:1100万(21.5%)
次女:1100万(21.5%)
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- 【解説】
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◆ポイント1:相続か生前贈与、どちらが適切かを検討しましょう
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本件の相続税を計算してみます。
財産総額は5,600万円ですが、生命保険500万円は非課税(500万円×法定相続人4名=2,000万円まで)となりますから、5,100万円が課税対象になります。基礎控除額は5,400万円ですから、相続税はかかりません。
一方、今回の相談である「妻に自宅を贈与して、現金を3人の子供たちに平等に渡す」という贈与計画には問題があります。なぜなら妻に現金を遺せなくなりますので、妻の老後資金が不足するからです。
加えて妻が自宅を相続しなくても、妻には配偶者居住権(2020年に誕生した、遺された配偶者が自宅に住むことができる権利)がありますので、仮に家族間でもめても、自宅を出て行かなければならない事態を招きません。
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- ◆ポイント2:家族会議を開催し預貯金の分配方法について考える
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相続税がかかるかどうかの心配はなくなりましたので、「家族がもめないために」預貯金をどのように分割するかを検討します。
預貯金を生前贈与するか、相続が開始まで待つか?
自宅を取得した人と、預貯金を取得する人のバランスは?
相談者が認知症になったら?
等について、各相続人のライフプランを考慮して家族で話し合う必要があります。
また、遺言書の作成も有効でしょう。
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- ◆追加アドバイス:2023年度に生前贈与加算と相続時精算課税制度が変わる!
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2023年度の税制改正大綱によって、2024年1月1日から相続税・贈与税に関する法律が大きく変わります。
大きな改正点は、「生前贈与の加算期間延長」と「相続時精算課税制度の基礎控除(110万)新設」の2つです。生前贈与の加算期間が延びる暦年課税に対して、相続時精算課税制度には基礎控除が新設されます。
暦年課税と相続時精算課税制度のどちらを選択すべきなのか、どのような相続税対策が適しているかは、家庭の状況によって異なりますから、専門家に相談することをおすすめします。