第299回【遺言ってどんなもの】遺言書を発見したら、勝手に開けてはいけません。家庭裁判所に持参し「検認」「開封」の手続きをしましょう。放送日:2024.1.11

  • 【事例】
    今年母が亡くなりました。
    遺品を整理していたところ本の間に挟まった遺言書を発見。
    遺言書を見つけた場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。
  • 【解説】
    絹川先生:遺言書を見つけたら、何が書いてあるのか気になってしまいませんか?
    大木さん:たしかに気になってその場で開けたい!となりそうですが、、確か、勝手に開けたらだめ、という決まりがありましたよね…?

    絹川先生:そうですね、家庭裁判所に持参し「検認」「開封」の手続きが必要です。
  • ≪遺言書を発見したときの注意点≫
    被相続人の遺言書を発見したら、まずは適切に保管する方法を考えましょう。汚したり、破ったり、無くしたりしてはいけませんので、できれば金庫のようなもので保管してください。また、自分だけが隠し持っていたりするようなことをしてはいけませんので、他の相続人にも見つかったことは伝えておくべきでしょう。そして大切なのは、勝手に開封したりしてはいけないということです。たとえ誰かがそばにいたとしても、一緒に遺言書を確認するようなことはやめましょう。

    もしも開いてしまった場合、5万円以下の過料になります。罰金は刑事上の刑事罰になりますが、過料は行政上の罰則です。また、誤って開封をしてしまった場合には、速やかに家庭裁判所へ相談していただき、その指示に従って、手続きを進めてください。
    公正証書遺言の場合は検認の手続きが不要です。このため、遺言者の死亡後に見つけた人が開封しても、特に問題はありません。ただし、封がしてある場合は、念のため、ほかの相続人に連絡し、その人たちの立会いのもとで、開封をした方が良いでしょう。
    ≪「検認」「開封」の手続きをする≫
    遺言書を発見した場合、その遺言書を家庭裁判所に持参して「検認」の手続きをしなければなりません。
    検認とは、遺言書が被相続人によって作成された本物の遺言書であるかどうかを調べたり、偽造されることを防止するために行われる手続きのことをいいます。ここで勘違いをしてはいけないのは、検認手続きは、遺言書の内容が有効であるかどうかを判断したり、有効性を保証するための手続きではないということです

    検認の手続きの約1ヶ月後には、家庭裁判所で「開封」の手続きがあります。相続人の前で遺言書が開封され、遺言書の内容が明らかになるのです。