第294回【遺言書ってどんなもの?】遺言書では自分の意志を遺し、相続人間のトラブルを防ぐことができます。放送日:2023.12.7

  • 大木さん:この番組では毎月「ちょっと難しい」相続のことについて教えていただいていますが、今月は「相続」の話をするうえで欠かせない「遺言」について教えていただきたいと思います。

    絹川先生:はい、この番組では何度も「遺言書」について取り上げてきましたが、大木さん「遺言書」ってどんなイメージですか?

    大木さん:遺言書を書いておけば、トラブルにならなかったのに…!といったケースがあったり、遺言書を書くことで相続人を指定できたり、「円満な相続」を迎えるうえで欠かせないもの、というイメージがありますね。

    絹川先生:そうですね、遺言書では財産の分け方について意思表示をすることができます。もし「遺言書」がない場合、遺産の分け方については相続人全員で話し合う必要があります。この話し合いの際には、「相続人全員」の合意がないと決定できないため、相続人間でトラブルが起きることが多々あります。

    大木さん:遺言書を書いておくと、自分の意志を遺すこともできますし、さらに残された相続人間のトラブルを防ぐこともできて一石二鳥ですね!

    絹川先生:そうなんです、遺言書を書くのに早すぎるということはありません、思い立ったが吉日です。
    大木さん:先生、ちなみに、遺書と遺言書、は違うんですよね?

    絹川先生:そうですね、遺書と遺言書には明確な違いがあります。大木さん、何かわかりますか?
    大木さん:遺書は手紙のようなイメージで、遺言書は法的な書類、のイメージ…

    絹川先生:遺言書は遺産の分け方を示した法的な書類ですが、それに対して、遺書は自分の気持ちを記した手紙のようなものであり、法定効力はありません。

    大木さん:では、遺言書にはどのような効力がありますか?

    絹川先生:まず、「誰にどの財産を渡すかを指定」できます。法定相続人以外に財産を渡したいときも、遺言書を書きましょう。また、遺言執行者を指定することもできます。遺言執行者を指定しておくことで相続手続きを速やかにおこなうことができるでしょう。

    大木さん:遺言書を書いておけば、相続開始後のトラブルを避けることができそうですね。
    絹川先生:とはいえ、たとえば「愛人に財産のほとんどを渡す」「兄の方が圧倒的に相続分が多い」など法定相続人が想像もつかないような内容だった場合、逆に反感を買ってしまうこともあるでしょう。遺言書を書く前に、家族間で話し合い、自分の思いを共有しておくことも大切と言えます。
    大木さん:家族だけでは少し話しにくい、遺言書の書き方が分からない、という場合は先生のような専門家に相談するのが良いですね。