第290回【事例でみる相続対策】介護資金のために不動産を現金化するなど、活用方法を検討しましょう。認知症になってからではできないこともありますから、はやめの対策が肝要です。放送日:2023.11.9

  • 【事例】
    Aさんは、現在80歳になるお母さまと2人暮らしAさんは独身で、働きながらお母さまの介護をしています。
    しかし、この先も介護しながら働き続けられるとは限らないうえに、このところお母さまの物忘れも激しく、先行きが不安な状態。Aさんは、今後の介護資金のことも含めて相続について考えはじめました。しかし相続財産は、今暮らしている持ち家と広すぎる敷地ぐらいなので、どうすべきか悩んでいます。
  • 【事例内容のおさらい】
    絹川先生:介護しているお母さまの物忘れが激しい、ということで、もしも認知症になった場合デイサービスの利用や病院での治療費等介護資金は相当なものになるでしょう。

    大木さん:たしかに、そのほかにもお母様がケガをしないように、階段に手すりをつける・部屋の段差をなくすなど、家の改修工事が必要になることもありますよね。

    絹川先生:そうですね、そういった介護資金の不安を解消するためにも、相続について考え始めたということですね。たしかに、相続対策は認知症になってからでは出来ないことが多いので早めに考えた方がよいですね。
  • 【大木さんからの質問】
    大木さん:今ある財産としては「持ち家」「敷地」ということですが、敷地は持て余している、ということなので、土地を売却して現金化する方が良いのでしょうか?
  • 【絹川先生からの「相続対策」解説】
    絹川先生:使っていない土地がある場合、土地を貸す、売却するなど複数の選択肢があります。土地を売却することのメリットはまず、資産を現金化できることです。現金化することで、その資金で住宅ローンを支払ったり、または他の立地のよい土地を買ったりすることもできます。

    もちろん、土地を売却するのはデメリットもあります。土地を貸した場合と違い、売却してしまえばそれ以降はその土地を利用して収益を得ることはできなくなりますし、宅地として使用していた不動産資産を現金化することで、相続税上の評価は大きく上がります。それによって相続税がかかるようになってしまうということもありますし、売却して得た利益にも税金がかかります。

    使っていない土地をどう利用するかは、ご自分の状況、その土地がどのようなものかで選択肢は変わります。

    大木さん:では、先生のような専門家に相談しながらそれぞれのメリット・デメリットをきちんと把握したうえで判断することが重要ですね。