第279回【相続の基本】遺言書って必要?財産が無いからうちには、遺言書は必要ない!と考えている方も多いでしょう。しかし、遺言書は「人が最終の意思表示」をするためのもの。書いておくと様々なメリットがあります。放送日:2023.8.24
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大木さん:今月は「相続のキホン」について教えていただいています。「相続」と聞いてみなさん思い浮かぶのは「相続って難しそう」という思いのほかに、「遺言書」について頭に浮かぶ方もいるのではないでしょうか。でも、遺言書ってなんだか書くのが億劫ですよね。
絹川先生:確かに、遺言書を書くのは気が進まないという方もいらっしゃいます。そもそも、うちは財産がないから遺言書は必要ない、と考える人も少なくありません。
大木さん:財産がなくて、家族間でもめ事は起きないだろう、という場合でも遺言書は書くべきですか?
絹川先生:遺言書とは、人が最終の意思表示をするための文書です。自分が亡くなった際に、遺産をどのように分けるかを事前に決めたり子どもを認知したり、さまざまなことができます。遺言書を書くと次のようなメリットがあります。
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- 1. 自分の意思で遺産の分け方を決められる
- 自分で築き上げた財産(遺産)については、自分の意思で死後の分け方も決めたい場合が多いでしょう。遺言書を作成すれば、遺産の分け方を自分の意思で決められるメリットがあります。
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- 2. 相続トラブルを予防できる
- 遺言書で遺産の分け方をすべて事前に指定しておけば、相続人が遺産分割協議を行う必要がなくなって遺産トラブルを防げます。
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- 3. 相続手続きの負担を軽減できる
- 遺言書があると、遺産の分け方を相続人同士で話し合う必要がなくなって相続人にかかる相続手続きの負担も軽減されます。遺言執行者を指定して相続手続きを一任すれば、各相続人が預金払戻しなどの手続きをしなくて良くなるので負担はさらに軽くなります。
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- 4. 相続人以外の人へ遺産を遺せる
- 遺言書がなければ遺産は法定相続人に引き継がれます。法定相続人になるのは配偶者、子や孫などの直系卑属、父母や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹となっています。相続人ではない内縁の配偶者などには遺産を遺せません。遺言書を作成すると内縁の配偶者へ遺贈するなどして相続人以外の人へも遺産を遺せるメリットがあります。
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- 5. 相続税対策ができる
- 遺産が多いと、相続税の納税義務が発生する可能性があります。遺言書を作成する場合、各相続人が無理なく相続税を納税できるように、遺産の分け方を工夫して対策を行うことも可能です。
- 生前の元気なうちに遺言書を作成しておくと、相続トラブルの予防や相続手続きの負担軽減につながり、家族を助けることにもなります。遺言書の作成に関心がある場合は、ぜひご相談ください。