第274回【遺言について学ぼう!】トラブルになりやすい遺言書にはどんなものがあるでしょうか。遺言書には様式があり、様式に則って書く必要があります。放送日:2023.7.20
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大木さん:今日は先週に引き続きトラブルになりやすい遺言書について教えて頂きます。
絹川先生:せっかく遺言書を用意したのに、トラブルになっては元も子もないですよね。今回も、トラブル事例について見ていきながら遺言書について学びます。
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- ◆トラブルになりやすい遺言書の事例
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- 1.遺言の執行が大変だった
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遺産分割協議完了後、各金融機関などで払い戻し等の手続きを行ったり、法務局で登記の申請をしたりする必要がありますが、これが意外と面倒です。銀行や市役所に行きたいのに平日は仕事を休めない、細かい手続きは面倒、そのようなお悩みを解決できるのが「遺言執行者」という制度です。遺言を作成する際に、遺言執行者が指名されていれば、遺言者が亡くなった際には基本的には遺言執行者が名義変更などの全て手続きを行います。相続人の負担は激減しますし、被相続人としても自分の遺言がきちんと実現できるため安心できます。
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- 2.遺言書が「無効」「偽造」といわれる
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遺言は要式行為と言って、法律で決まった通りの書き方でなければ無効と言われる可能性があります。中でも、自筆証書遺言(自分一人で書く遺言)は、要式を誤って無効になってしまったり、内容が十分に具体的ではなく効果が認められなかったりすることがあります。また、相続人間で、遺言は偽造ではないか等の紛争が生じるリスクがあります。
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- 3.遺産分割協議後に遺言書が発見された
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基本的には発見された遺言が優先することにはなりますが、解決までの間に不動産が第三者に売却されるなど、権利関係に変動が生じる可能性もあり、裁判で必ず勝てるとは限りません。何よりも、紛争解決に費やされた時間やお金は返ってきません。
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- ◆まとめ
- 絹川先生:遺言書のトラブルを防ぐために有効なのは「公正証書遺言」を書くことです。公正証書遺言であれば保管の心配もなく、法務局や公証役場で半永久的に遺言を保管してくれるので、紛失や発見されないなどの心配はありません。遺言書を書くのはいつからでも早すぎるということはありません。お気軽にご相談ください。