第237回家族信託って何?放送日:2022.11.3
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先週は不動産相続における「円満な相続」のための対策として、
①「どの不動産を」「誰が」相続するか、親が生きているうちに話し合いをする
② 口約束だけでは不十分なため、「遺言書」を必ず残しておく
③ 親が認知症になった場合等に備えるため「家族信託」を活用する
という3つのポイントを紹介しました。
今回は「家族信託」について詳しくお話します。
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- 【家族信託とは】
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老後、自分で自分の財産を管理できなくなった場合に備え、自分が保有する預貯金や不動産の管理や処分をする権限を家族に与えておくという、財産管理の制度です。委託者(財産を託す人)が保有する財産を受託者(財産を管理する人)に託することを内容とする契約のことです。受託者は、契約で定められた目的に従って、当該財産を管理・運用・処分することができます。家庭裁判所の関与もなく、家族間で自由に内容を決めて結ぶ契約になりますから柔軟な資産管理や運用を行うことが可能です。
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- 【家族信託を活用する際の注意点】
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既に認知症等で本人の判断能力が失われている場合には、家族信託契約の締結はできません。
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- 【家族信託を使うべきケース】
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- ・親が所有する不動産を子が管理したいとき
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→親が認知症になった場合に判断能力の低下を理由に資産が凍結されてしまうことがあります。
元気なうちに家族信託を活用することも検討しましょう。
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- ・二次相続以降の財産の承継先を指定したい場合
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→遺言では「誰に」「どの」財産を譲るかを指定することはできても、
さらに先の「二次相続」つまり相続人が受け継いだ財産を誰に相続させるかまでは指定できません。
しかし家族信託では遺言では二次相続以降の財産の承継先の指定が可能です。
たとえば、自分が亡くなった場合は配偶者に、その後配偶者が亡くなった場合には実兄弟に相続させる
と指定することも可能になります。
家族信託は家庭裁判所が関与しないため、柔軟な対応が可能です。
認知症や二次相続にも備えることができますから、元気なうちに活用を検討しましょう。