第235回いらない土地は相続放棄できる?放送日:2022.10.20
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被相続人:父(山奥の土地を所有)
相続人:長男(相談者Aさん)
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- 【Aさんからの相談】
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先日父が亡くなりました。父が生前所有していた山奥の土地を相続することになったのですが、誰も使わないですし相続放棄をしたいと思っています。いらない不動産があるという理由で相続放棄できるのでしょうか。
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- 【ポイント】
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★不動産がいらないという場合でも相続放棄できるのか
★相続放棄すると他の遺産も相続できなくなる
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【解説】相続放棄自体は可能
まず、相続放棄自体は可能です。 相続放棄は被相続人が借金をしていたケースでよく問題になるため、本件のような借金があるわけではない事例では相続放棄はできないと誤解している方も多いです。 しかし、相続放棄をする場合に特に理由を問われるわけではないので、不動産がいらないという理由でも相続放棄をすることは可能です。
相続放棄をするといらない不動産だけではなく、全ての遺産を相続することができなります。 例えば、亡くなった方が不動産以外に預貯金も持っていた場合、相続放棄をすると不動産はもちろん、預貯金も相続できなくなります。 相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなすとされています(民法939条)。 いらない不動産だけを相続しないという制度はないことに注意をしましょう。いらない不動産があるけれど、その他のものは相続したいという場合には、遺産を相続したうえ、不動産を売却することを検討しましょう。
相続放棄の手続きをする際には、自分が相続人になったと知ってから3ヶ月以内にする必要があります。 相続放棄をするかどうか調査がすすんでおらず、3ヶ月以内に判断できない場合には、家庭裁判所に申し出て期間を伸ばすことができます。
また、相続放棄によって相続人となる方がいる場合には連絡をすることをおススメします。自身が相続放棄したことを連絡しないでいると、次に相続人となるべき人が、相続人となったことに気づいていないことが多くあります。トラブルを避けるため、事前に事情や相続放棄をする旨を伝えて了承を得ておくほうがよいでしょう。
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- 【まとめ】
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★相続放棄は自分が相続人になったと知ってから3ヶ月以内に。
★いらない不動産だけを相続放棄してその他の遺産を受け取ることはできない。
★相続放棄の際には第2順位の相続人に連絡しておくこと。
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- 相続人がいなくなった場合
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相続人全員が相続放棄をして、相続財産の管理も難しい場合には、利害関係人(特別縁故者や債権者など、もしくは検察官)が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申し立てをします。
相続を放棄しても民法で「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と定められています。そのため、放棄した相続でも相続財産管理人への引き継ぎが完了するまでは、きちんと管理する必要があります。
また、相続人全員が相続放棄を行い、最終的に引き取り手のなくなった財産は国庫に帰属されます。
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- 相続財産管理人の費用
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相続財産管理人の選任申し立てには、相続財産管理人が引き継いだ相続財産を売却したり管理したりするための費用(相続財産管理人の報酬も含む)も必要になります。
まずは相続財産の中から払えるかどうかを調べますが、不足が出る可能性があれば、相続財産の種類や額によって変わりますが、数十万円~100万円程度の予納金を裁判所に納めます。
相続財産管理人の選任後、財産が最終的に処分されるまでは最短でも11カ月。1年以上はかかるものと考えておきましょう。
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- 相続の全員放棄は慎重に
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相続の全員放棄は、債務の弁済逃れや相続したくない財産から逃れるための手段として安易に考えられがちですが、放棄したらそれで終了ではなく、相続財産管理人に引き継ぐまで責任があり費用もかかるものです。
相続放棄の申し立て期限は3カ月以内であり、期限を過ぎてしまうと単純承認となってしまいます。大切な人が亡くなった後ですと、ご自身の感情の整理やお葬式の対応などで、相続について考える時間の確保が難しいこともあるかと思います。ただ、焦ってしまい選択を間違えてしまうと、大変なことになってしまうので、万が一に備えて事前の情報収集や弁護士など専門家のアドバイスを得て慎重に検討してください。