第230回遺言書は作ったほうが良い?放送日:2022.09.15

  • 【質問】
    最近、80歳になったこともあり、相続について考えるようになりました。
    自宅やお金の一部を妻(80歳)に遺そうと思っております。子どもが3人いるので、それ以外の不動産は子どもたちへと考えており、子どもたちに相談したところ、遺言書はわざわざ作らなくてもいいんじゃない?という話に。最終的にはお父さんに任せるよ、という結論に至りましたが、私は遺言書を作った方がよいのでしょうか。
    (※登場人物は、質問者、妻、子3名)
  • 【回答】
    絶対に作った方がいいと思います。
    • ★理由1:認知証のリスク
      ・ご家族さまの中に、認知機能が低下している方がいる場合には、相続手続きの進め方が異なります。
      ご相談者さまに万一のことが発生する際、配偶者さまのご年齢が何歳になられているでしょうか。一般的に女性の方が長命ですので、仮に10年後にご相談者さまに万一のことがあった際、配偶者さまも同じようにお歳を重ねられ、90歳になられております。遺言書が無かった場合、不動産・金融資産の相続手続きが必要となりますが、90歳の配偶者さまが相続手続きを行うために走り回っている姿をご想像することはできますでしょうか。場合によっては、ご相談者さまに万一のことがあった際、配偶者さまが認知機能が低下されているケースも想定されます。その場合に、相続手続きはどのように行うのでしょうか。

      配偶者さまが意思能力を欠いている場合、有効に遺産分割協議を成立させることは出来ず、成年後見人制度などの新たな手続きが必要になってしまいます。
    • ★理由2:不動産が複数ある
      相続財産に不動産が多い場合には「誰に」「どの」財産を遺すかが論点になります。
      相続財産に不動産が複数ある場合には、「誰が」「どの」不動産を相続するか、で揉め事になるケースが想定されます。亡くなった後に相続人同士で遺産をめぐる争いを避けるという点で、遺言書は有効だといえるでしょう。

      ご相談者さまがご家族全体を見回して遺言書を作成すること、
      遺言執行者を指定して将来の手続負担を軽減することをお勧めします。