第194回相続財産の調べ方放送日:2022.01.13
-
- 【事例】
-
父の財産を相続することになったAさん。
遺言書が遺されておらず、財産がどれだけあるのかが分かりません。
父の遺してくれた財産の内容と価値を調べるにはどうしたらよいのでしょうか。
-
- 問題:相続財産を調べるには?
-
─ 財産調査を行い、財産目録を作成する。
-
財産目録は、被相続人が所有していたすべての財産を一覧にしたもので、たくさんの項目について調査しなければなりません。調査と作成にはかなりの労力が必要になると思いますが、財産目録をきちんと作成しておくことで、相続に関するトラブルを防ぐことができる場合もあります。相続人同士で協力しながら、コツコツと調査と作成を行いましょう。
-
- ◆財産目録に記載する内容
-
財産目録には、被相続人が所有していた土地や建物などの不動産の評価額、預貯金の額、株式や債券などの有価証券の額のほか、自動車や絵画・宝飾品などの動産の評価額などを記載していきます。そういった「プラスの財産」だけでなく、借金や税金、未払の治療費などの「マイナスの財産」もきちんと調べて、記載しておく必要があります。
たとえ被相続人が遺言書を書いてくれている場合でも、財産目録が用意されていない場合は、やはり財産をきちんと調べて、財産目録を作成するようにしましょう。
なお、財産目録は法律で作成を義務付けられている訳ではありません。しかし、遺産分割協議や相続税対策などの場面では、財産目録の有無によって、手続きの進行や結果に大きな差が出ることがあります。書式についての決まりもとくにありませんので、相続人全員が分かりやすいようにまとめておけば大丈夫です。
-
- ◆不動産の調査方法
-
被相続人が土地や建物などの不動産を所有していた場合は、どんな土地や建物を持っていたのか、その評価額はいくらなのかといったことを調べなければなりません。
不動産の調査をする場合は、「権利書」や「登記識別情報」または「固定資産税の納付書」などを探してみましょう。固定資産税の納付書が見つかれば、市役所などにある「名寄帳」から、被相続人が所有していた土地や建物が分わかります。それらが分かれば、法務局に出向いて、土地や建物の権利関係が記載された「登記事項証明書」を取得しましょう。
その他にも、預貯金の調査・借金の調査も重要です。たくさんの目録について調査する必要がありますから、専門家に相談するのが良いでしょう。