第186回遺留分放送日:2021.11.18
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- 問題:相続人は母、長女、長男の3名なのに、母に「全て」相続させる、という遺言が見つかった!
この場合、長男と長女は遺産を受けとることができる?できない?その理由は?
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─ 受け取ることができる。遺留分があるから。長女1/8、長男1/8
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- 【解説】
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一定の相続人には、最低限の遺産を貰い受ける権利(遺留分侵害額請求権)があります。遺言によって長男に遺産のすべてを贈られたり、愛人に財産を残されたりした場合でも、一定の範囲の相続人は、主張すれば必ず一定の財産が取得できます。遺留分は、遺言の内容よりも強い権利と言えます。
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- 問題:母が相続したのは居住していた不動産(4000万円)のみ。長男と長女は遺留分を主張しています。どれだけ財産を分与しなければならないでしょうか。
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─ 遺留分は法定相続分の1/2なので、4,000万円×1/4×1/2で500万円を長男と長女それぞれに支払わなければならない。
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- 【解説】
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この場合、不動産の権利相当の現金を分与することになります。母に、分与するだけの現金があれば別ですが、現金がない場合(もしくは相続した現金が少額の場合)、不動産を売却せざるを得ません。話し合いによっては持分を持たせることも可能ですが、このように、遺留分相当の財産をどのように分割するかについても問題が生じます。遺留分に見合った財産の分割方法を生前から相続人間でも話し合い、考えておくとよいでしょう。
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- 問題:ちなみに、1つの不動産を複数の相続人で平等に相続する場合、おもに3つの方法がありました。どんな方法でしょうか。
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換価分割、代償分割、現物分割(おまけ:共有分割)
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- 【解説】
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- ・換価分割
- この中で、最もトラブルを回避できる方法が換価分割です。換価分割とは、実際に相続不動産を売却して、売却金を相続人の間で分配する方法です。
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- ・現物分割
- 現物分割は、相続する土地を分筆して、分筆された土地をそれぞれの相続人が所有する方法です。
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- ・代償分割
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相続人の一人(または数人)に法定相続分を超える財産を与えた上で、その超えた部分の代償として金銭で解決するという方法です。
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- ・共有分割
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共有分割は、ひとつの土地を共有持ち分とする分割方法です。土地活用に際しては、所有者全員の同意が必要になるため、意見が割れると事実上まったく有効に活用できない土地になってしまうため、望ましい方法とはいえません。