第151回認知症と相続③放送日:2021.03.18
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- Q.
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母は既に認知症で、父が生活の面倒を見ています。しかし、最近父も怪我による入院を機に体が弱ってきました。父も高齢ですし、今後認知症になる可能性がないとも言えません。今からできる対策はないのでしょうか。
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- A.
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今までお話してきたように、認知症になってからではできる相続対策は限られます。そこでまず考えられるのが「遺言書の準備」です。
父親はまだ判断能力がありますが、認知症を発症し程度が進むと有効な遺言書を作成することができなくなります。そうなる前に速やかに遺言書を準備しておくことが望まれます。
遺言書で相続財産の承継者を指定しておけば、相続発生後に遺産分割協議をする必要がなくなります。例えば自宅不動産が共有にならないよう、息子さんの単独所有とするように指定することができます。そうすれば、父親の他界後、息子が自宅を相続できるので、将来売却が必要になっても息子さん単独の意思で売却が可能です。
預金については、母親に相続させると認知症に伴う財産管理ができないという問題が出てくるため、預金も遺言で息子さんに相続させる対策も一案です。しかしながら、配偶者に財産を相続させない場合には、相続税対策として配偶者の税額軽減の特例が使えないというデメリットが発生します。
配偶者の税額の軽減とは、配偶者が遺産分割や遺言により実際に取得した遺産額の、1憶6000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。すべて息子に相続させた場合には、この特例が使えないため、相続税の負担が上がる可能性があります。また、自宅も預貯金も全てが子供の財産となるため、母親の財産がないという心配が発生します。
先週紹介した、「家族信託」という方法もありますから、何がベストか、専門家に相談ください。