第137回遺言放送日:2020.12.10

  • 相続に関する知識を問題形式で出題!
    絹川先生からの問題に入江アナウンサーが挑戦し、答え合わせ、解説を行います。

    相続のキホン②:遺言
  • Q1.遺言で一番望ましいのは?
    公正証書遺言。公正証書遺言とは、自分自身が手書きで作成する自筆証書遺言に比べて、公証人関与のもと作成する方法であるため、最も確実な遺言書です(民法969条)。
  • Q2.なぜ公正証書遺言が望ましいの?
    要件不備で無効になることがない。
    また、公証役場で管理されるため紛失、破棄などの心配がない。


    公正証書遺言は公証役場で公証人によって作成されるため要件不備で遺言自体が無効になることがありません。公正証書遺言は遺言作成者の死後、家庭裁判所による遺言の検認作業が省略されます。検認とは遺言が形式的に有効に作成されているかの調査のこといいます。自筆証書遺言(法務局保管を除く)では検認作業を省略できませんので、相続手続きにおいて若干ですが余計な手間が発生します。このように公正証書遺言は確実に遺言を残したいときに効果を発揮します。また公証役場で管理されますので遺失や破棄、発見されないというような心配もありません。逆に公正証書遺言のデメリットは、先述したように公証人や証人に自分の財産を公表しなくていけません。また、公証人、証人に手数料、報酬を払う必要がありますし、財産内容の調査、書類収集等、自筆証書遺言より作成に手間がかかりますし、時間もかかります。そういった心配より確実に有効な遺言を作成したい方は公正証書遺言を選択すべきでしょう。
  • Q3.遺留分を侵害した遺言は無効?
    遺留分を侵害した遺言であっても直ちに遺言が無効になるわけではない。遺留分減殺請求がなされた場合、その限りにおいて遺言の内容が修正される。
  • Q4.ワードで作成して署名・押印した遺言書は有効?
    自筆証書遺言は、遺言者本人が全文・日付・氏名を自書しなければなりません(民法968条1項)。動画で撮影した遺言などももちろん無効です。ただし財産目録は可能です。
  • Q5.認知症患者が書いた遺言は有効?
    認知症だからといって、すぐに無効になるわけではない。遺言をするには「遺言能力」が必要です。遺言能力とは、自分の行う遺言の意味を理解し、その結果を弁識することができる意思能力です。認知症になっていても、軽度認知症で、遺言の内容を理解し、そこから導かれる結果を認識できているならば、有効な遺言ができます