第129回親の介護放送日:2020.10.15

  • 【質問】
    私は長女で、長年実家に住んでいます。母は5年ほど前から身体が不自由になり、私が介護をしてきました。正直、介護の負担はとても重く、私は遊ぶことはおろか、働きに出ることもできませんでした。そんな中、母が亡くなり、遺産相続の話が出ました。相続人は私と妹の2人です。妹は「不動産はいらないから、相続財産の2分の1のお金を払ってほしい」と主張。私は人生の全てを捨てて母の介護をしてきました、それなのに、好き勝手に生きてきた妹にも同じ額の遺産を払わなければならないのでしょうか。
  • 【回答】
    寄与分が認められれば多くもらえる
    親と同居していた相続人がいる場合、その相続人は親の介護をしていたり、親の事業を手伝ったりしていることが多いです。そうすると、自分の遺産取得分を増やしてほしいと考えるのはふつうです。反対に、同居していない相続人からしてみれば、「親族なのだから介護をするのは当たり前」「同居して生活費を出してもらっているんでしょ」と考え、同居人の相続分を増やすことを認めません。

    確かに、介護の程度が大きければ、相続分を増やしてもらえることがあります。ただ、寄与分を認めてもらうには、最終的に家庭裁判所での審判が必要になるので数年かかることもありますし、それだけの寄与分が認められるかは分かりません。長い時間をかけたにも関わらず、期待していたような結果にならないことも多いです。

    無用なトラブルを避けるためにも、遺言書を作っておくことが大切です。介護をしてくれた相続人に相続分を多く渡したい場合には、遺言に書いておけばトラブルは起きにくいです。

    また、反対に親として同居していた相続人に寄与分を与えるほどの貢献はないと考えるなら、法定相続分通りに分割する内容の遺言書を書いておけばよいのです。