第120回納税資金対策放送日:2020.08.13
- 今日のテーマは「納税資金対策」についてです。
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先週のおさらいですが、相続税は、金銭で即納することが原則となっています。
相続税の納付期限は、申告期限と同様に「死亡日の翌日から10カ月以内」に納める必要がありますが、この期限までに相続税を納税しないと、年利14.6%の延滞税がかかってしまうことになります。
「遺産がたくさんあるなら、納税できないことはないのでは?」と思われる方もおられますが、そういうわけにはいきません。相続税は「現金」で支払わないといけないからです。したがって、例えば不動産や株式などの「物」が遺産の大半だったら、多額の相続税が発生していても相続税を支払えないことが頻繁に起こります。
相続税が予想される時には、すぐに現金で相続税を支払えるように納税資金の準備を万端にしておくべきです。
手段としては、
①生命保険の死亡保険金の活用
②退職金の活用
③不動産の贈与 が考えられます。
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- 【生命保険の死亡保険金の活用】
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納税資金を確保するための方法としては、生命保険を利用する方法があります。
高額な死亡保険金を受け取れる終身保険に入り、相続人を死亡保険金受取人に指定しておけば、相続が起こったときにスムーズに相続税を支払うことができます。
生命保険については、相続税の控除の制度があるので、大きな節税効果が期待できますが、さらにそのお金を納税資金に使うことができるので、節税という意味でも資金の確保の意味でもメリットのある方法といえます。
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- 【退職金の活用】
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生命保険の他に、死亡退職金を利用する方法もあります。
死亡退職金とは、経営者や会社員が在職中に死亡したときに、遺族に支払われる退職金であり、遺族の生活保障の意味合いが強いものです。
死亡退職金についても、生命保険と同様の取扱いが認められています。つまり、受け取った退職金は相続税課税の対象になり、大きな控除が認められるのです。控除枠も生命保険と同様で、「500万円×法定相続人数」であり、その分税負担が軽くなります。
退職金規程によって当人が死亡した時に死亡退職金が支給されるようにしておくと、節税できると同時に遺族は受け取った死亡退職金により、スムーズに相続税を支払うことができます。
同族会社の中小企業などではよく使われる手法なので、税理士に相談するなどして検討してみましょう。
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- 【不動産の贈与】
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不動産を贈与して、相続が起こるまでに収受した賃料によって相続税を支払う方法などもあります。
この場合には、相続時精算課税制度を利用する方法もあります。
相続時精算課税制度は、最大2,500万円までの贈与を当面非課税とする制度ですが、
賃貸アパートを贈与した場合には、その後アパートから発生する賃料については、相続財産にならないので、全額相続人が受け取ることができるので、その収益分(賃料など)だけ相続財産を減らすことができ、節税になります。
来週は、節税対策をテーマにお話致します。