第119回
相続対策って何をしたらいい?
放送日:2020.08.06
今日のテーマは「相続対策」についてです。
【相続税制度の改正で課税対象が2倍に】
平成27年(2015年)に相続税が改正され、相続税基礎控除額が4割減となり課税対象が大幅に増えることになりました。例えば相続人が3人の場合、改正前の相続税基礎控除額は、8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)でしたが、この改正によって4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となりました。つまり、改正前なら、自宅不動産や金融資産等の相続財産の合計額が7,000万円のケースでは相続税の申告は不要で相続税もゼロだったのが、この改正後は、相続税の申告が必要となり相続税を払わなければならない可能性が出てきたことになります。
この基礎控除額の引き下げによって、課税対象の割合は56,000人から106,000人と、約2倍にも増加することになり、相続税の課税割合も大きく増加することになりました。
相続人の数が多ければ多いほど基礎控除額が大きくなるので、相続税の負担を軽くすることができますが、今は少子化の時代です。相続人の人数が減ればそれだけ課税されるケースが多くなります。
したがって、相続税の負担を減らしたいと思ったら、生前のなるべく早い時期からさまざまな対策を行うことが大切です。そしてその対策の1つが生命保険を活用した相続税対策なのです。
相続対策には大きく分けて、分割対策 納税資金対策 節税対策が挙げられます。
先週までにご紹介した遺言書は、分割対策(誰に、どのような財産を、どのような割合で)につながります。では、納税、節税のための対策ってどうしたらいいのでしょうか。
【分割対策】
うちはそんな財産ないから対策は必要ないよという方は勘違いです。相続が発生すると、
相続人が2人以上いる場合は必ず遺産分けをしなければなりません。そのようなご家庭は、財産が多くても少なくても、分割対策は絶対必要です。
代表的な分割対策は、遺言書の作成ですね。誰にどの財産をどのくらい相続させるかという事を事前に考えて、それが争いなく相続されるように遺言書を作成しておく。または、生前贈与を活用して、生前のうちに、財産を承継させておく事などは、こちらの分割対策に分類されます。
【納税資金対策】
基本的に相続税の納付は、
相続発生後10ヶ月以内に現金で納付
するのが原則です。
相続税が発生した場合、無事に納税できるよう準備するのが納税資金対策です。
10ヶ月というのは、あっという間に過ぎてしまいますから、事前に対策をしておかないといけません。
【節税対策】
多くの相続の場合、相続税がかかりませんが、相続財産が多い場合には多額の相続税を支払う必要があります。この相続税を出来るだけ少なく済むために行うのが「節税対策」です。
分割対策、納税資金対策、節税対策、この3つの相続対策の
優先順位
は、
1.分割対策
2.納税資金対策
3.節税対策
となります。
遺産分割対策がすべてのベース(基礎)になるもので、その上に納税資金対策や節税対策が乗っかるという感じです。
納税資金対策や節税対策ができていても銀行預金の凍結により納税資金が準備できない。
遺産分割がまとまらず、特例や控除の適用が受けられない
などなど、
遺産分割協議がまとまらないと
納税資金対策や節税対策にも多くの不都合が生じます。
なのでまずは、ベースである遺産分割対策を行いましょう。来週は、納税資金対策について具体的な方法をお伝えします。
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