第106回遺留分ってなに?放送日:2020.05.07
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- Q.
- 遺留分ってなに?
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- A.
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遺産相続をするときには、法定相続人が法定相続分に従って遺産を受け継ぐのが基本です。しかし、遺言や贈与があると、法定相続人であっても十分な遺産を受け取れなくなることがあります。たとえば、父親が死亡したとき、子どもには遺産相続権がありますが、父親が愛人に全部の遺産を遺言で遺贈してしまったら、子どもであっても遺産をもらえなくなってしまいます。このようなときに、子どもが主張できるのが、「遺留分」です。
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先ずは遺言があれば遺言の通り相続をします。次に遺言が無ければ法定相続人が法定相続分に従って相続します。
しかしこれはあくまでも原則です。
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- 遺留分とは
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遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。民法は、被相続人と密接な関係のある人を法定相続人と定めて遺産相続をさせることにより、なるべく被相続人に近かった人が多くの遺産を引き継げるように配慮していますが、反面、被相続人自身の意思も尊重しなければならないので、遺言や贈与によって財産を処分する自由も認めています。
しかし、完全に自由な処分を認めてしまったら、相続人の期待があまりに裏切られてしまうので、法律は、一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めたのです。
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- ◇遺留分は遺言でも侵害できない
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遺留分は、遺言に優先することが法律上でもはっきりしています。民法では、遺言によって相続人の相続割合を自由に決定することを認めていますが(民法902条1項)、但し書きにおいて「ただし、遺留分に関する規定に違反することができない」と明示しています。そこで、遺言によっても遺留分を侵害することはできないのです。
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- ◇遺留分を侵害する遺言はできないのか?
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それでは、遺留分を侵害する遺言をすることはできないのでしょうか?遺言によって遺留分を侵害することが許されないなら、そもそもそのような遺言は無効になってしまうような気もします。
実は、遺留分を侵害する内容の遺言もできますし、そういった遺言が有効になり、遺留分を侵害する内容で遺産分割や相続が行われてしまうこともあります。このことは後で詳しく説明しますが、遺留分を請求するには、侵害された人が遺留分の権利主張をしなければならないからです。遺留分を侵害する内容の遺言があっても、侵害された相続人が何も文句を言わなければ、その遺言はそのまま有効になってしまいます。
その場合、せっかく遺留分があっても、その法定相続人は遺産を受け取れなくなってしまうので不利益を受けます。自分に遺留分があることがわかったら、できるだけ早く遺留分の請求をすべきです。
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- ◇遺留分を認められる人
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これについても、民法に定めがあります。具体的には、兄弟姉妹以外の法定相続人です。基本的には、配偶者と子どもと親ですが、これらについての代襲相続人にも遺留分が認められます。たとえば、子どもが被相続人より先に亡くなっていたら孫が代襲相続しますが、このとき孫にも子どもと同じ割合の遺留分が認められます。代襲相続人は、被代襲相続人の地位をそのまま引き継ぐものだからです。
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- ◇遺留分請求できない人
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兄弟姉妹
兄弟姉妹が相続人になっている場合には、遺留分の請求が認められません。兄弟姉妹は子ども、親に継ぐ第3順位の法定相続人ですが、子どもや親などの直系の親族と比較すると、被相続人との関係が薄いためです。兄弟姉妹の子どもである甥や姪が代襲相続人になっている場合にも、兄弟姉妹の地位をそのまま引き継ぐため、遺留分はありません。