第103回借金の相続・相続放棄放送日:2020.04.16
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- 【借金の相続・相続放棄】
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登場人物:父(死亡)、母(死亡)、息子(質問者)
財産内訳:自宅(3000万円)、預貯金(100万円)、借金(400万円)
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- Q.
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先日父が亡くなりました。相続にあたり、遺言の有無を確認しましたが遺言は見当たりませんでした。
また、父の戸籍を調べたところ、相続人は私のみであるということが分かりました。
合わせて遺産の調査を行ったのですが、父には借金があったことが判明しました。
借金は相続しなければいけないのでしょうか。
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- A.
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亡くなった父親が生前に借金を重ねていたらしい…。こんなときはまず、現金や株券などのプラスの遺産と、借金などのマイナスの遺産をすべて洗い出し、比較してみることです。その結果がプラスであれば「単純承認」を選択すれば良いでしょう。これはごく一般的な遺産相続として権利義務をすべて無限定に継承するということですから、資産だけではなく借金などの負債もすべて相続人が引き継ぐものです。
逆にマイナスの場合には「相続放棄」が得策です。プラスとマイナス、それぞれの遺産の額がいくらになるのか、すぐには判らないという場合には「限定承認」の手続きを取りましょう。
これは相続したプラスの遺産の範囲内でだけ、マイナスの遺産を引き継ぐというものです。便利な制度ですが、相続されることを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所に、相続人全員で申し立てを行わなければなりません。
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- ≪相続放棄の手続き≫
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まず相続放棄には期限が決められており、それは「自分が相続人であることを知ってから3ヵ月以内」というものです。「故人が亡くなってから3ヵ月以内」ではないことに注意してください。
「世界中を放浪する旅に出ていて、久しぶりに帰国したら、父親が半年前に亡くなっていた」という場合や、「遠縁の親戚が1年前に亡くなったのは聞いていたが、自分が相続人だと最近になって知った」という場合などは、「そのことを知った日から3ヵ月以内」が期限になります。相続放棄をする場合には、その期限までに家庭裁判所に申し立てを行います。必要な書類は被相続人(故人)との続柄によって若干違いますが、基本的には相続放棄をする本人の戸籍謄本、被相続人の住民票除票または戸籍附票。それに相続放棄申述書に必要事項を記入し、一人につき収入印紙800円を添えて裁判所へ提出します。相続放棄申述書は裁判所に備え付けてあるほか、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。また、連絡用に切手を貼った返信用封筒を求められることもありますので、手続きをする際には各地の裁判所に確認するようにしましょう。
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- ≪相続権の移動≫
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相続権は、放棄すると次の相続人に移動していきます。たとえば妻子ある男性が亡くなった場合、相続権は妻と子どもたちに発生します。つまり「故人の配偶者と子」が相続人になるわけです。彼ら全員が相続放棄をすると、その時点で「故人の親」に相続権が移動します。この時から3ヵ月以内に故人の親が相続放棄をすると、今度は「故人の親の子」、つまり故人の兄弟に相続権が移動します。彼ら全員が相続放棄を行うと、相続権の移動はそこで終了します。ですが故人が亡くなる以前に故人の親や兄弟が亡くなっている場合には、「故人の兄弟の子」にまで相続権が及ぶ場合があります。このように、相続権は親族の間を移動していきますから、誰が正当な相続人なのか分かりづらく、しかも全員に連絡をとるだけでもかなり大変です。戸籍をたどっていく途中で養子縁組が行われていたり、本籍地が移動していたりすると、作業はさらに厄介になりますし、手間も時間もかかってしまいます。そのうえ、「3ヵ月」というタイムリミットもあります。このような場合には無理をせず、専門家に依頼したほうが良いでしょう。